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和泉の伝説

葛(くず)の葉(は)伝説(でんせつ)

今からおよそ千年も前のお話です。摂津(せっつ)の国阿倍野(あべの)の里(さと)(今の大阪市阿倍野区)に安倍(あべの)保名(やすな)という人が住んでいました。保名は和泉の国(和泉市)信太の森の神社によくお参りしていました。 家の名をあげるような、りっぱな子どもをさずけてくださいとおいのりしていたのです。

ある日のこと、いつものようにお参りをしておりますと、狩人(かりゅうど)におわれた「めぎつね」(メスのキツネ)が、保名の前にすがたをあらわしました。かわいそうに思ってかくまってやりますが、保名は狩人におわれてけがをしてしまいます。 やがて、けがをなおしている保名のもとに、 「くずの葉」というわかいむすめがたずねてきました。むすめは一生けんめい保名の世話をしました。この「くずの葉」こそ、保名がすくっためぎつねがおんがえしのために人間のすがたになってあらわれたものでした。

やがて保名のけがもなおって、二人は夫婦(ふうふ)としてくらしはじめました。ふたりのあいだには、童子(どうじ)という男の子がうまれました。

6年目のある秋の日、くずの葉は庭(にわ)のきくの花があまりにうつくしかったので、きつねのすがたにもどっているのもわすれて、思わず見入ってしまいました。そして、そのすがたを、童子にみられてしまいました。正体(しょうたい)を見られた「くずの葉」は、もうこのまま人里(ひとざと)ではくらせないと、けっしんしました。そして、ふでを 口にくわえると、

恋(こい)しくば たずね来てみよ 和泉なる
信太の森の うらみくずの葉

という歌をしようじにかきつけ、信太の森へ帰ってしまいました。
保名と童子は「くずの葉」のすがたをさがして、信太の森を歩きつづけました。保名は、なみだをながしながら童子を見つめているいっぴきのきつねを見つけました。

きつねは池に自分のすがたをうつすと、「くずの葉」のすがたになりました。童子に、自分のかたみとして白い玉をわたすと、ふたたびきつねのすがたにもどって、森のおくへとさって行きました。

この童子こそ、のちにうらないのカでかつやくし、有名になった安倍(あべ)晴(せい)明(めい)であると伝えられています。

和泉市には、この伝説ゆかりの地がいくつもあります。聖(ひじり)神社には、くずの葉が姿をうつした鏡(かがみ)池(いけ)や、狩人におわれたきつねがネズミにすがたをかえてにげたというネズミ坂などがあリます。

また、葛の葉稲荷(いなり)には、くずの葉がすがたをうつしたという「すがた見の井戸」や、 くずの葉が化(ば)けたといわれる石「御霊(みたま)石(いし)」などがあります。

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