上場株式の配当所得および譲渡所得等の申告・課税について
源泉徴収を選択した特定口座内の特定配当等および特定株式等譲渡所得は、既に源泉徴収されているため確定申告は原則として不要です。ただし、所得控除・税額控除の適用を受けたい場合や、株式の損益通算と損失控除を適用したい場合等は、申告が必要となります。
また当該所得については、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することが可能でしたが、令和6年度(令和5年分)以降から異なる課税方式の選択ができなくなりました。
詳細につきましては、下記より参照ください。
特定配当等・特定株式等譲渡所得とは
特定配当等
特定配当等とは、上場株式の配当所得等のうち大口株主等が受けるものを除いた配当および利子で、所得税が15.315%、住民税(市・府民税)が5%の税率で源泉徴収されているものをいいます。
特定株式等譲渡所得
特定株式等譲渡所得とは、特定口座のうち源泉徴収口座に受け入れた上場株式等の譲渡所得等で、所得税が15.315%、住民税(市・府民税)が5%の税率で源泉徴収されているものをいいます。
令和6年度(令和5年分)以降の上場株式の配当所得等に係る課税方式について
上場株式の配当所得等について令和6年度(令和5年分)より所得税と住民税で異なる課税方式を選択することができなくなります。
課税方式については所得税と住民税が一致することとなりますので、令和6年度より課税方式の選択については慎重に判断してください。
令和5年度以前 | 令和6年度以降 | ||
所得税 | 市・府民税 | 所得税 | 市・府民税 |
分離課税 | 申告不要 | 分離課税 | |
メリットに合わせて異なる課税方式を選択できた。 | 所得税と市・府民税で同じ課税方式となる。 |
各課税方式にメリット、デメリットがございますので、申告の際は慎重にご判断くださいますようお願いいたします。
また各課税方式のメリット、デメリットにつきましては下記の表をご覧ください。
課税方式 税率 |
メリット | デメリット |
---|---|---|
申告不要 (源泉分離課税) 所得税 15% 個人住民税 5% |
源泉徴収で納税が完結しているため申告する必要がない。 個人住民税において、当該所得が合計所得金額や総所得金額等に影響しない。(1) |
所得控除の余剰分による控除(2)、上場株式の譲渡所得・配当所得等の損益通算、繰越控除(過去3年分)、配当割額控除・株式等譲渡所得割額控除(3)の適用が受けられない。 |
総合課税 所得税 5~45% 個人住民税 10% |
所得控除の余剰分による控除(2)を受けられる。 所得税において、最低税率が5%であるため、税率をより低く抑えられる可能性がある。 配当控除の適用を受けることができる。 |
申告する必要がある。 個人住民税において、当該所得が合計所得金額や総所得金額等に影響することがある。(1) |
分離課税 所得税 15% 個人住民税 5% |
所得控除の余剰分による控除(2)、上場株式等の譲渡所得・配当所得の損益通算、繰越控除(過去3年分)の適用が受けられる。 |
(1) 個人住民税において、当該所得が選択した課税方式によって合計所得金額、総所得金額、総所得金額等に影響するため、扶養控除や配偶者控除などの適用、非課税判定、国民健康保険料や後期高齢者医療保険、介護保険料等の算定などに影響を及ぼす可能性がある。
(2) 所得金額(上場株式の配当所得等を除く)に対して社会保険料や扶養控除などの所得控除額が上回っている場合、その余剰分を上場株式の配当所得等に対して控除適用することができる。
(3) 確定申告を行った場合、配当割・株式等譲渡所得割として源泉徴収された金額は配当割額控除・株式等譲渡所得割額控除として所得割から控除されます。所得割から控除しきれない場合は均等割から控除し、なお控除しきれない場合は還付されます。
注意点
1.特定口座に受け入れた所得であっても、市・府民税があらかじめ源泉徴収されていない所得は申告不要(源泉分離課税)を選択することはできません。
2.特定口座の譲渡損失を申告する場合、同一口座の配当所得は申告不要(源泉分離課税)を選択することはできません。
課税方式の選択について〔令和5年度(令和4年度分)以前の上場株式の配当所得等に適用〕
平成29年度の税制改正により、上場株式の配当所得および譲渡所得等(源泉徴収を選択した特定口座分)について、所得税では分離課税、住民税では申告不要とするなど、異なる課税方式を選択できることが明確化されました。
所得税と住民税において、異なる課税方式(源泉分離課税、申告分離課税、総合課税)を選択する場合、市・府民税の納税通知書が送達されるときまでに、所得税と異なる課税方式を選択するための申告を行う必要があります。
上場株式等の配当所得および譲渡所得等に係る全てを申告不要(源泉分離課税)とする場合、令和3年度の税制改正において、令和3年度分以後の確定申告書に個人住民税に係る附記事項が追加され、令和4年1月1日以後に確定申告書を提出する場合は、住民税の課税方式について確定申告書に附記するだけで、申告不要とすることができるようになりました。
なお、住民税上で全てを申告不要とする以外で、所得税と異なる課税方式を選択する場合(住民税では一部のみ申告するなど)には、従来通り市・府民税申告書および資料の提出が必要です。
また、全部の申告不要を選択された場合でも、内容の確認ができない場合には、従来どおり資料の提出をお願いすることがあります。
申告期限と申告方法
市・府民税納税通知書送達前(5月末)までに、「市・府民税申告書」「市・府民税申告書付表(課税方式選択用)」「確定申告書の控え一式(確定申告書の第1表~第4表(1)(2)および株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書など)」「特定口座年間取引報告書の写しや上場株式配当等の支払通知書の写しなど」「上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除明細書(譲渡損失額がある場合)」のご提出をお願い致します。
令和5年度市・府民税申告書 (PDFファイル: 3.2MB)
市・府民税申告書付表(課税方式選択用) (Wordファイル: 22.1KB)
上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除明細書 (Wordファイル: 14.9KB)
注意点
1.市・府民税納税通知書送達後に、課税方式を変更することはできません(過年度分も同様です)。
2.特定口座に受け入れた所得であっても、市・府民税があらかじめ源泉徴収されていない所得は申告不要(源泉分離課税)を選択することはできません。
3.特定口座の譲渡損失を申告する場合、同一口座の配当所得は申告不要(源泉分離課税)を選択することはできません。
4.所得税と市・府民税で異なる課税方式を選択した場合、医療費控除や外国税額控除、譲渡所得の繰越損失額等について、所得税と市・府民税で控除額等に差異が生じる可能性があります。
5.令和6年度(令和5年度分)以降については所得税と異なる課税方式の選択はできません。
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更新日:2024年10月17日